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失われた声:アメリカ大統領選も最終盤

アメリカ大統領選もあと一週間で投票となりました。ここに来て、オバマ候補がマケイン候補との差を固めつつあると報じられています。

劣勢のマケイン陣営は必死の挽回を図る最後のタイミングですが、はかばかしくありません。代わりにYouTubeあたりを満たしているのは、オバマを「社会主義者」とか「共産主義者」あるいは「憲法に文句ありと言っている(非国民)」といったネガティブ・キャンペーン。

三週間ほど前に、人種・宗教・テロリストをキーワードにしたキャンペーンでこけたばかり。いったんは止むかなと思ったのですが、どうにも止まりません。

こりゃ迷走です。マケインに票を集めるのには役立たないでしょう。むしろ、中道層に見限られる材料をせっせと流しています。オバマ陣営は余裕の受け答え。

見て取るべきは、共和党支持層の瓦解でしょうか。都市部の金持ち層と、中西部・南部の低所得保守層とがちょっと不思議な共同戦線を張ってきたのがこのところの共和党支持者団。原油高で疲弊したところに、このところの金融不況で製造業も相次いで解雇発表中。経済政策でてこ入れを求めそうなものですが、何を血迷ったのか、経済支援を口にすると「共産主義者め!」となってしまいます。規制強化を警戒する金融エリート層ならばそういう反応もあるかもしれませんが、それでは小市民層はたまらないでしょう。自分で自分の首を絞める格好。

こうしてみると、展開されているのはどうも選挙戦術ではないようです。ネガティブ・キャンペーンという名の悲鳴でしょうか。

この迷走する支持者たちに、マケイン陣営がまともな声を提供できていないのは深刻です。選挙に負けることはあります。けれども、選挙で意味のあるメッセージを発しきれない人があまりにたくさん出てくるのは危うい。表現できなかった思いや不安がどこかにどすぐろく溜まってしまわないでしょうか。

終盤戦のオバマは「協調」を繰り返し始めています。これはもちろんお決まりの台詞。有権者を二分した選挙戦のあとにはその溝を埋める作業が必ず要ります。ただし今回はこの修復作業の重みが増すかもしれません。いったい自分が誰に何を言いたいのかすらわからなくなった人々に、「ここに私がいる」と伝えて安心させるという大仕事。

あぶない仕事です。折しもの市場混乱。中東も落ち着きません。声を与え損なえば、新政権はいきなり危機に瀕します。そしてそれよりも怖いのは、あまりにうまく声を与えすぎた時かもしれません。第二オバマ・ブームがわき起こってしまうとき、手にしたカリスマをうまく制御できるかは未知数です。オバマ頼みにならずに、それぞれが声を発し、聞き取りあえるか。コミュニティの力が試されます。

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